AutoPostが6年前に投稿 click.duga.jp
ソルティアは水の国。豊かな水に恵まれ、古代から、人々は水とともに生活し、文化や経済を紡いできていた。中でも「霊水」と呼ばれる、スピリチュアルなパワーを秘めた水の発見は、歴史に大きな意味をもたらす。その研究の中で、「水」が記憶を宿すこと、そして、水と精神の波動を同調させることで、水と語り合えることが証明さたのだ。そして、「水」に溶け込んだ「生命力」「情報」「破壊力」などを引き出す媒体として、「霊水」を活用する体系が築かれていった。「水術」の始まりである。ある日、「水術」の技を高いレベルで身につけた術士夫婦が、極限まで清めた「霊水」を使い、とある天界の神格を降臨させた。それが、ソルティアの守り主であり、水の神でもある「大水龍」であった。偉大な神力と存在感を前に、「水術」は信仰とも深く結びつくことになる。人々は「水術士」たちに、普段使いの「水」を清めてもらったり、冠婚葬祭を依頼するとともに、心のよりどころとして尊敬するようになり、中でも「大水龍」と波動を同調させられる者たちは「水龍士」(すいりゅうし)と呼ばれ、何世代もの間、ソルティアの信仰と文化において、大きな役割を担うこととなった。「大水龍」の加護のもと、ソルティアは栄えた。「水」と同じく、様々な人種、階級、価値観を溶かし込み…豊かで寛容で多様性に満ちた社会が、多くの人々の人生に、安心と希望を与えていた。…そのうち、そんな、おおらかな社会に溶け込まぬ者も現れ始める。確たる信念を持ち、馴れ合わぬ者たち…初めのうち、そんな生き方を選ぶ者の多くは「孤高なる者」として、やはり人々に尊重された。新しい視点での発言。「あたりまえ」に埋もれて忘れ去られた、深い意味の探求。それは、普通に生活する者たちにとっても、心を揺さぶるものだったからだ。…だが、時が経つにつれ、「孤高なる者」の中から、その名前に反して徒党を組むグループが現れ始め、一部の「水術士」たちと良からぬ企みを始めた。その術士たちは、厳格な「水術」の運用と階級に不満を持ち、自ら手にした「霊水」の力を、より奔放に…あるいは、より自分自身のために使いたいと願っていたのだ。そんな動きが、時には満ち、時には引き…表面上の普段通りの生活の影で、我欲や権力や暴力への欲望が、密かにソルティア全体の足もとを、長い時間をかけて腐らせていった…そして、ある夏の夜、それは起こった。神殿に降臨し、「龍水」の体に宿った「大水龍」が、数名の黒き「水術士」たちによって、文字通り“打ち砕かれた”のだ!飛び散った「龍水」は、国じゅうにばらまかれ、龍の神の姿は消えた。ソルティアは、そこから、私欲と偏狭な権威がはびこる国へと転落の一途をたどる…
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