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福岡県内にある葉華国際学園(ようかこくさいがくえん)に通う「八女緑(やめみどり)」。彼女は、ある日恋人の「門司湊太(もじそうた)」が、見知らぬ女性と駅前を歩いている姿を見てしまう。浮気を疑い後を追った緑だが、湊太と謎の女性が向かった先は、英彦山と呼ばれる福岡県内でも二番目に標高の高い山。途中で湊太と女性の姿も見失ってしまい、深い森の中をさ迷う羽目になってしまう。そして、懸命に歩き続けた先で緑が見たものは、ビニールシートの上に綺麗に折り畳まれた湊太と女性の衣服だった。浮気の疑いを色濃くする緑。しかし、その場に現れたのは湊太ではなく、見たこともないような人型の怪物だった。恐怖のあまり逃げ出した緑だが、ますます森の中に入り込んでしまう。今のは何だったのか。幻覚でも見てしまったのか。あるいは、何かの動物を見間違えてしまったのか。混乱する緑の前に次に現れたのは、とても常識では考えられないほど巨大なトカゲだった。目の前の存在に、命の危険を感じる緑。恐怖に耐え切れず、森の中に悲鳴を響き渡らせた瞬間、両者の間に割って入って来たのは先に見た人型の怪物だった。互いに敵対しているのか、争いを始める二種の怪物。呆然とする緑の前で、やがて勝利は人型の怪物が収めることとなる。――次は自分の番かもしれない。死を覚悟した緑はまぶたを閉じたが、怪物が襲ってくることはなく、代わりに聞こえてきたのは人の声だった。おそるおそる目を開ける緑。彼女の目に飛び込んできたのは――――「湊太の……浮気相手…………」悪夢のような出来事から翌日。緑は様々な事情を説明してもらうため、湊太とともに彼の職場である「御静屋(おしずや)」へと向かう。そこで彼女が知ったのは、「妖神(あやかみ)」と「御子(みこ)」の存在だった。自然の穢れを己の身に吸収しそれを人間に還そうとする妖神。人々の生活を守るために妖神を鎮めることを生業とする御子。そして、そんな御子の活動を支えている組織の御静屋。湊太、そして彼の浮気相手だと疑っていた女性――「梅枝杏子(うめえだきょうこ)」は、御子へと姿を変える人外の能力を持っていた。あまりにも非日常は話しに困惑する緑。しかし御子の姿となった湊太を見て、これが現実であることを理解する。果たして、自分はどうすれば良いのか。御子として命を懸けてまで、「妖神鎮め(あやかみしずめ)」を行おうとする湊太にどう接していけば良いのか。緑にとっての穏やかな日常が、静かに壊れ始めていた……。
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