魔法、ひとつくださいな。

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まゆくら 湖山滝斗 アドベンチャー

都会の喧騒から離れたところの、田舎の小さな町。その町の人里からはずれた田畑の真ん中に、一軒のお店がぽつんと建っていました。そのお店の名前は「駄菓子屋ひより」。お店にいるのは、1人の冴えない若い店主と、1匹の飼い猫。置いているのは名前の通り、駄菓子の数々。特別珍しくもない、年季の入った駄菓子屋さんです。ただ、注意深い人ならば気づくかもしれません。店の入口に、1枚の張り紙がしてあることに。店と同じぐらい年季の入った、黄ばんだ紙に書かれているのはこんな言葉。『魔法有リ□(マス)』魔法――。誰もが夢に見る不思議な言葉。どんな夢も叶える不思議な力。でも、現実には存在しない力。普通ならば、こんな張り紙は冗談だと思うでしょう。でも――この張り紙が冗談じゃなかったら?この店には本当に、魔法を置いているとしたら?夢や願いや悩みを魔法で解決することができるとしたら?それはとても、とても素敵なことではないでしょうか?そう思ったのは、私だけではないようです。ほら、今、お店の前で足を止めた1人の少女。この後、お店に入った彼女はきっと、こう言うのです。「魔法、ひとつくださいな」――って。

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