AutoPostが12年前に投稿 click.duga.jp
ペダルを思いっきり漕ぎ、助走つけ坂道を登りきると、目の前に海がひろがった。そこは、いつもの通学路。遠くで鉄橋を渡る電車の音がする。身体を左に傾け進路を東にとると、風が背中を押す。日が昇る方向へ…真っ直ぐに。潮風が頬をくすぐった。路面電車が通り過ぎる。立ち漕ぎで後を追う。まだ勝ったことはない、学校までのロードレース。校舎へ向かう人がつづく学校前の駅。漕ぐのをやめ、風に乗る。冷たい空気がほてった身体に心地いい。かばんの紐を片方だけかけた、あいつがいた。欠伸をしながら、駅から出てくる。まだこっちには気づいていない。気づかれないように、ゆっくりと漕ぎ出す。そして、あいつの……あいつの広い背中に…「おはよっ!!」小気味よい声が、辺りにひびいた。
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