AutoPostが12年前に投稿 click.duga.jp
――彼女はいじめられていた。それは明らかだった。僕はそれを知っていながら、ただ見ているだけしかできなかった……。あの日までは――舞台はとある田舎の学園。主人公『阪井信高』が所属するクラスには、少し前に転校してきたばかりの少女がいた。彼女の名は『塚田美希』しかし彼女の家はとても貧乏で、転校してしばらく経つというのに、新しく制服を買うことすらできないでいた。彼女はそれが原因で次第にクラスメイトから疎まれるようになる。最初はその貧乏そうな風貌や生活態度をからかうようなことを聞こえよがしに言ったり、嘲笑する程度だった…。ところが、彼女の母親が街の風俗で働いているという噂が広まると、事態は一変した。それまで傍観者だった女子たちも、一部ではあるが陰口をたたいたり、あからさまに無視をしたりするようになった。実際にいじめに加わっている人数自体は多くないが、他のクラスメイトたちは皆、関わり合いになりたくない、火の粉が降りかかるのは御免だといった様子で、とても彼女の味方をしてくれるような空気ではない。かく言う信高自身も、過去の一時期にとある理由からいじめられていた経験があり、ちょっとしたトラウマとなっていた。そのため単純に正義感から美希を助けようとは思えず、ほかのクラスメイト同様、彼女と関わるのを避けていた。そんなある日の下校中、信高は土手の橋の下に、美希がぐったりと倒れているのを見つけてしまう。クラスメイトの男子に突き落とされてしまったのだという。彼女が足を挫いていたこともあって、信高は肩を貸しながら家まで送ることにした。そのときに信高は、はじめて美希の顔をはっきりと見ることになる。しかも今までにないくらい近くで…普段は眼鏡で隠れて良く分からなかった容貌も、近くで見るととても整った顔をしていることに気づかされる。身体に当たって初めて知る彼女の大きな胸と、その柔らかさ。仄かな甘い匂いや、包み込むような身体の暖かさも伝わってきて、内心ドギマギしてしまう。そして不意に見せた仄かな笑みが、信高の心を鷲掴みした。これを機に、信高は彼女に対して好意を抱くようになる。このときの出来事をきっかけとして、二人の運命は大きく変化していく……
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